フランス旅行記10~パリで一文無しの巻~

小学生の頃母が私に、

「明日持っていくぞうきん、あんたは絶対忘れるんだから、今のうちにカバンに入れておきなさい。」
と言った。

やや?まだ忘れてもいないのに絶対とは失礼な!
私は「うん、後でやる。」と言って漫画を読んでいた。

母「後でやるって言って、あんた絶対忘れるんだから、今入れなさい。」

私「大丈夫、後でやる、絶対忘れないから。」

母「そう言って絶っ対あんたは忘れるんだから入れなさい!」

私「後でやる、絶っ対忘れないもん!」

母「あんたは忘れる人なんだから。」

私「もう絶っっ対忘れない!忘れない人になった!」

兄登場「お前そう言って絶対忘れるぞ。」

私「(ぬなっ!)絶対忘れません~。絶対に絶対に絶~対に忘れません~。」

兄・母「やれやれ、そういってこの子は忘れるんだから。」

私「忘れませんたら忘れません、絶対忘れません~!
  そんな何回も同じこと言われなくても分かってます~!」

と散々生意気な口を利いておきながら、次の日、ぞうきんを忘れた…。

学校から帰った私に母は一言。

「ほらね、あんただもの。」


<六日目~一文無し~>

Cさんを見送り、
私たちは荷物を郵送するため、クロネコさんに立ち寄ることに。

地下鉄北駅:Gale du Nord
地下鉄やRERへの乗り継ぎができ、多くの人が行き交う駅。

この日はパリのホテルをチェックアウトし、
人形劇のフェスティバルが開催されているシャルルビル・メジェール市に移動するので、私たちはスーツケースを持ち歩いていた。

Hさんのスーツケースは、大きめの最新型。とても軽量で車輪もしっかりしている。

私のスーツケースは、知人が「重たいから捨てる」と言ったのをもらったもので、
空の状態でも重たい。捨てたくなるくらい重たい。

そしておまけに車輪が内側についているので、安定が悪い。
おまけのおまけに、旅に出て早々に車輪のゴムがはがれてしまい、キュルキュル鳴って更に重くなった。

友だちがスーツケースを倒さずに颯爽と歩く姿がエレガンスでうらやましい。
私のスーツケースは、まるでグランドで引くタイヤだ。重いコンダーラだ。

石畳の上スーツケースを引くと、あっという間に手に豆ができた。

あ~重たいね~。やっぱ新しいの買えばよかったよ。
パリに来てからも何度も買おうかと思ったのだが、節約したかったのと、
古いケースの捨て方が分からないので、今回はガマンだ!

あ~しかし重たいね~。

おや、地下鉄に乗ろうとしたら、若い女性がやってきて、重いスーツケースを一緒に持ってくれたよ。

親切だな。ありがとう。
フランス、親切な人が多いな。
こないだも重いカバンを持ってあげてる人がいたよ。

今日も地下鉄、混んでるな。ぎゅうぎゅうだ。

なかなか奥に入れないな。あ、友だちは何とか乗れたみたいだね。よかったよかった。

あれ、あの…一緒に持ってくれてるスーツケース、もう置いてくれていいんだけど・・

ああ、でもこんな混んでる中で持ってしまったから、置くと彼女の足か私の足に乗ってしまうのかな。

重いのに一緒に持ってもらっちゃって申し訳ありませんね。

優しい人だな、ありがとう。

あ、地下鉄の扉がしまるよ、

あ、やっとスーツケース置いてくれた、

あれ?あなたは降りるの?

あれあれ?車内、混んでると思ったら空いてるね。
皆いきなり降りちゃったね。どうしたのかな。

私のカバンを持つために来てくれたのかい?親切にありがとう!


・・でも、何だか違和感。妙な違和感。
親切に違和感。さっきの窮屈さに違和感。

・・・・

「あ・・財布がない・・」

何度確認しても財布がない。財布がないんだ。

頭がパニくる。えっと、何で、いつ、今、女の人、スーツケース、重い、
他にも人、私を囲んで、押してきて、窮屈、財布、
全財産、人形劇、貯金、私、お金、ないから、私、一文無し・・

「あ!カメラ!携帯電話!」と思ったらそれは別に入れていたので無事。
あ~よかっ・・いや!良くない!

「やられた!スリだ!」

周りの人が同情の目を向けてくる。
そして入り口に座っていたおばさんが、
「多分今の子達がやったのよ。」と目と指差しで教えてくれる。

そうなんだ・・そうか・・それでも…そうなんだ・・。
駅員さんもいるわけでなし、ここは日本ではないのだ・・。

追いかけたいけど地下鉄は走り出し、
電車内を逆走しても意味はなく、とにかく頭を落ち着かせ、対処を練る。

でも全くどうしていいか分からないので、
降りた駅で困った時の「在フランス日本大使館」に電話してみる。

Oさんという老年(多分)の男性が出て、今あったことをしどろもどろに説明する。

きっとこんな日本人多いのだろうに、Oさんは大変優しく同情してくださり、
穏やかな口調で「お金は戻ってこないでしょう。」と現実を突きつける。

そうですか、そうですよね、そうでしょうよね、

「何かあったらまた言ってください。」
はい、既に今が何かあったからなのですが・・
いや、でもとにかく日本語で優しくそう言ってくれるだけで救われた。

癒しのOさん。ありがとう。老後お役に立てることあれば連絡を。ヘルパー資格持ってます。

ああしかし、大使館に電話をしても現状変わらず・・。
誰かに電話をかけたくなったけど、心配かけるだけなので止めておく。

Hさんがあまりにも優しく、母なる愛で私を慰めてくれるものだから泣きそうになった。てかちょびっと泣く。
涙がユーロに変わることはないのだし、
ここは私が落ち込んでてはいけないのだ!とにかく荷物を送るのを優先させてもらおうと、クロネコさんに移動する。
(パリにもあるクロネコ支店・日本人対応)

Hさんが荷造りなどしている間も終始、先ほどの違和感を繰り返し思い出す。

ああ、輝く太陽も素敵な服もサンドウィッチも、
今の私には全て手の届かないもの・・
さようなら、私の財布、全財産、地下鉄の回数券、七福神のお守り…。

「ああ、パリで一文無し・・(正確には1セント無し・・)」

バッキャロー!スリのバッキャロー!私のバッキャロー!
(こんな時でもバッキャローとバッファローって似てるとか思ってる私バッキャロー!)


フランスから帰って、母と電話。

母「おフランス楽しかったかい?」

私「うん…実はさ・・私、フランスでスリにあって、一文無しになっちゃったさ・・」

母「あら~!あんただもの!」


人間だもの、私だもの、あんただもの。


後はハイスピードで行こう。
11につづく・・
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Commented by はらぽっけ at 2011-10-29 09:00 x
あー…残念…。
でもとこらしい(あ、ごみん)
Commented by ayajijo at 2011-10-29 09:22
*はらぽっけ

うう・・残念無念。
あの娘たち、豪遊してるんだろうな・・。
Commented by SAYO at 2011-10-29 10:26 x
あらあああああ。。。。知らなかった(;;)
かわいそうに。。。
Commented by ちゅげ at 2011-10-29 11:13 x
いやー思い出すね。あの違和感。。
次はばっちり防犯対策だ!キティはスーツケースに入れてね♪
大変だったけど、また行きたいなぁ~。
Commented by machi at 2011-10-29 20:17 x
笑い事じゃないけど、ニヤニヤしながら読んだ。
取られたのが命じゃなくてよかったよ!
お金は、これから稼げばよいのだ!!

今度は、財布にひもつけて腹にくくりつけとこうぜ!
Commented by ayajijo at 2011-10-30 08:58
*SAYOさま

わ☆コメントありがとうございます!

そそそそ・・そうなんです・・。大波がこれでした・・。しくしく。
Commented by ayajijo at 2011-10-30 08:59
*ちゅげ

ほんと懐かしい違和感・・。

次こそはオリジナル防犯グッズを作って、ダミー財布をおとりにするわ。
キティも守ろう。また行こうよ☆(直行便で)
Commented by ayajijo at 2011-10-30 09:01
*machi

ありがとう。笑ってもらえるとうれしいわ。
ほんと、怪我とかしなかっただけでもよかったよ。

次からは万全の対策を練って行くよ!
Commented by 松風 at 2011-10-30 22:08 x
ついにスリにあってしまう話ですな。失礼だけど、無くしたものがまた手にすることができるもの?でよかったよね。
笑い話に変えてしまうところはさすがだな。見習いたいな。
母親様の言った一言。同じよう事で同じこと言われたことあるけど、ちょっとムッとしてすぐに苦笑いしながら気持ちがホっとしたっけなぁ。
Commented by ayajijo at 2011-11-02 07:44
*松風 さん

本当だね、二度と手に入らないもの失くしてたら、と思ったら恐ろしいよ。

母さんはお見通しだね。
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by ayajijo | 2011-10-24 00:19 | | Comments(10)