SUSHI

現在、一軒家を借りて共同生活をしている。

妹はよく私に言う。
「姉ちゃんは一人の方がいいんだって。」

ワ・・ワカッテマス、

でも、高いのだ。家賃が高いのだ。
一軒家なんて借りてしまったものだから、家賃が一人では高すぎるのだ。

だから共同生活。
生き抜くための共同生活。

昨年から何度か人が入れ替わったりしているが、
今は一人、青年(体は大人、心は小学三年生くらい)の男子と共同生活をしている。
日本人と韓国人のハーフなのだが、スウェーデン人の元で育てられたという男性で、
この一行だけで複雑な感じだが、家庭環境は更に複雑のようで、
私からはうまく話せないっていうか、そもそも彼の言語をうまく理解出来ていないので話せないって感じ。

その人とは一年くらい前からメールや手紙などで交流していたこともあり、
時々大ゲンカするものの、彼の持つ少年性(小三くらい)により、わりとさっぱりと仲直りし、家族みたいに気楽に暮らしている。
いい年齢の青年に「小三くらい」というのは大変に失礼なことだとは思うが、
彼の趣味は”ファミコンとゲームウォッチとビックリマンシールを集めること”だという。
先日は「ヤフーオークション」で欲しかったゲームウォッチが安く落札できた~!と、
室内を走り回って妙な踊りを踊っていたのだが、そのヤフオクを見てみると誰とも競り合ってなかった。
そんな感じなので、むしろ今時の小三くらいの子の方が大人びてるのではないか?と思ったりもしている。

さて、そんな小三氏と先日お寿司を食べに行った。
もちろん高級店ではない。くるくる廻る寿司だ。

「食べたいものがあったらこのタッチパネルで注文するんだよ。」
と、私は流暢な身振り手振りで伝える。
その日はどうもプリンやケーキばかりが流れてくるので、
私は自分の食べたいものを注文し、向かいに座る小三氏に「君も注文するかね?」と目で聞いてみたが、首を横に振る。
時々流れてくるものは取って食べているが、
食べたいものがあっても注文しようとしない。

私はその理由を流暢な英語で尋ねてみる。
「ホワイ?」

彼は言う。
これは”楽しむもの”なのだ、と。
食べたいものをレーンの遠くで発見したら、さてそれが自分のところまで流れてくるか、
はたまた何処かで誰かに取られるのか、それをドキドキしながら待つのが楽しいのだ。
安易に注文してしまっては、来るのは当然。
それではこの回転の楽しみを味わえない!
僕は注文せずに、この流れに身を任せるのだ!!
(おそらくこのようなことを言っていた)

先日ラジオでお笑い芸人の誰かが、
「回転寿司は入ったらすぐ食べられる。待たなくていい。」
と言っていて、ああそうか、回転寿司は腹ぺこな人にぴったりだなぁと、思ってお寿司が食べたくなったのだが、
なるほど少三氏、そんな楽しみ方があったか。
と思いつつも私は普通に注文し、
小三氏は「あ~!とうとういくらが来た~!誰も取るなよ~!うお~!」と他の客を遠巻きに威嚇していた。

最終的には思うものがほとんど廻ってこないので、
私が強制的に注文し、満腹満足して店を出た。

帰り道小三氏はゲームセンターを覗いて帰ると言い、
私は本屋を覗いて帰るといい、別々に同じ家に帰った。


b0192991_12345855.jpg


[PR]
# by ayajijo | 2015-08-15 23:14 | 日々 | Comments(5)

度胸

「女は度胸」なんて言いますね、あれ、男だっけ?

先日、新作『バナナ裁判』の公演に向けて、うさぎのかぶり物を作り、京都の観光名所で写真撮影をしてきました。

平安神宮でパシャ。
賀茂川沿いでパシャ。
京都タワーを背景にパシャ。
京都の名所を巡りながら、うさぎを被ってパシャパシャ。

人混みを避けつつも、ちょうど祇園祭りが近かったこともあり、人通りの間でパシャ。

周りの人たちが私たちを見て言ってくれる。
「きゃあ、なにあれ、かわいい!」
子どもたちも
「うさぎだ!うさぎ〜!」

そんな中、一人のおじさんが通りすがり、
私たちにこう言った。
「あんたら度胸あるなぁ。」

ん?度胸…?

私は思う。

度胸なんているかな、これ。
度胸なんていうのは、ここぞという時。
何か危ない行動をする時とか、一か八かの勝負の時とか、男性をお茶に誘ったりとか、そんな時に度胸は使うものだ。
今はただうさぎのかぶり物被ってるだけだし、そりゃ人は見てるけど、そんな、
度胸いらないよな、
いやぁしかし暑いな、こんなの被ってたら暑い暑い、はぁ、そろそろ脱ごうかな…

…ハッ!!

……!!

そこで私は先ほどのおじさんの言葉の真意を知る。
(いや本当は違うかもしれないけど)

うさぎを被った私に、女性や子どもたちがかわいい!と言ってじっと見てくれている。
ポーズを決める度に反応してくれている。

ちょ、ちょっと待て…
もしここで、このかぶり物を脱いでみたらどうなる?
そこに残るのは一体何だ?

わ…私だ。
汗だくでボサボサ頭で疲れきったアラフォー女の顔だ。

皆が見てる…
かわいいとか言って見てる…

そんな中で〈かわいいうさぎ〉を脱いで自分の顔を晒し、
周囲の落胆を強いひきのように感じるだけの度胸…

私にはない…。





[PR]
# by ayajijo | 2015-07-18 21:33 | 日々 | Comments(3)

風船

昨日お寺で人形劇をした。
その日はお釈迦様の誕生を祝う「花まつり」だった。
人形劇の後には、子どもたちにお寺の住職さんから甘茶とお菓子、そして風船が手渡された。
自分で膨らませる風船ではなく、ふわふわ浮くやつだ。

住職さんは「手を離したらあかんぞ、あんな風に飛んでっちゃうぞ~。気をつけろよ~。」と言って風船を渡した。
あんな風にというのは、この日の人形劇の一場面に、女の子が持っていた風船が手を離れて飛んでいってしまう場面があったからだ。風船が飛んでいって女の子は泣いてしまう。

子どもたちは色とりどりの風船を持って楽しそうだ。

人形劇も終わり、私は舞台をバラし片付けていた。
すると、一人の女の子が私のところに来てこう言った。

「わざとじゃないんだけどね。」

私は何がわざとじゃないんだ?と思いつつ女の子に顔を向けた。

「わざとじゃないの。」

そう言うと女の子は頭上を指差したので、私も顔を上げた。

風船だ。お寺の高い天井に、赤い風船がある。

「あのね、わざとじゃないの。」

そうか。この事を言ってるのか。
二人風船を見つめる。
風船からヒモが下ってはいるが、手を伸ばしたって取れる距離じゃない。

わざとじゃない。
分かってる。
あのふわふわ風船は自分では作れないから、私だってもらったら絶対離さない。
わざとじゃない。

私はでも、なぜこの女の子は私に言ってくるのだろうと思っていた。
周りには背の高いおじさんやお母さんたちが何人もいる。
何なら大きな脚立だってその辺にある。
なぜ私にわざわざ言いに来るのだ・・
そもそも初対面の私への第一声がなぜこれなのだ・・
と思いつつふと自分の手を見ると、私は長い棒を持っていた。
舞台の緞帳としての棒で布が巻きついている。
女の子が気づいていたかは分からないけど、棒の先にヒートンまで付いている。

あ、イケる・・

私は棒を上に上げ、ヒートンに風船の持ち手を引っ掛け、
ものの一分とかからずに風船を降ろすことに成功した。

女の子に渡すと「ありがとう!」と笑顔で私に言った。

私は女の子が私に声を掛けてからありがとうと言われるまで、
自分が一言も声を発していなかったと思い、
「ああ、うん。」とだけ答えて、
また黙々と舞台を片付けた。



[PR]
# by ayajijo | 2015-04-06 17:40 | 日々 | Comments(0)

お見合い

「コンカツ〜!!」って一緒に燃えていたマチ子ちゃんが、
いい人と出会って結婚して出産してトントン拍子鳴らしてる間私は、
相も変わらずトントントンカチ鳴らすくらいで、何の音沙汰もない。
音沙汰がご無沙汰。おまけにお金もなければ色気もない。

マチ子ちゃんに「色気ってなに?教えて〜!」って言われて、
「うっふんとか、そういうのじゃないかね。」なんて先輩ぶってた頃が懐かしい。

日本がダメなら世界じゃ!と視野を広げてみたけれど、
甘い言葉を掛けてくれるのはロマンス詐欺集団くらいのもので、
しかしながら詐欺に引っかかるほどの英語理解力もないので、どうにもぼんやり生きている。

歳を重ねると共に腹の肉まで重なっていく。
気付けば自分至上最低ボディになっている。

恋とはなんぞ、結婚とはなんぞ、人形劇とはなんぞ、
考えても答えの出ないような、答えのないようなことをまたぼんやり考えて過ごす日々。

そんな私にお見合いの話が舞い込んできた。
友だちの紹介である。
友だちが私を気に掛けてくれていたのがうれしい。
何だか男の人とあらたまってお話できるのもうれしい。
石のようになった私の心が動くのではと期待してうれしい。
何事もなくても皆でごはんを食べるのだからうれしい。

いや、何より何もないのだ。このところもどのところも、何もないのだ。
何もないところに何かが起こるかもしれないのだ。
何も起こらないような気もするけど、それでもいい。
こんな時は何を着て行けばいいのだろう。
毛玉のついた服しかないのが玉に傷っていうか玉に毛っていうか、
せめて穴が開いていない服を着て行こう。

それにしても、
世の人はどうやって出会い、どうやって結ばれていくのだろう。
色々なことが分からなくなってくる。

ああ、明日は3/11。

[PR]
# by ayajijo | 2015-03-10 18:35 | 日々 | Comments(4)