画鋲が落ちている

ああ、画鋲が落ちている。
部屋の襖を開けて入った左側に、画鋲が落ちている。

数日前から入口に、のれん代わりに貼っていたスカーフの端から取れて、
畳の上に画鋲が落ちている。

それはとても挑発的に、上を向いて。

どちらを画鋲の上と呼ぶか知らないが、
一本の鋭利な部分を上に向けて、
一歩間違えば踏んでしまいそうなところに、私が踏むのを待ちかねるように、画鋲が落ちている。

危ない。本当に危ない。刺さったらどうするんだ。
痛いじゃないか!血が出るじゃないか!
そこからバイ菌が入り込んで感染症にでもなったらどうするのか!

この状況に、多くの人はこう言うだろう。

「・・拾えよ」

100%同感である。私も言いたい。拾えよと。
声を大にして言いたい。拾えよ!と。

しかし、拾わないのである。
拾えないといっても過言ではない。
手を伸ばせばすぐそこにある。それなのに、私は拾わ(え)ないのである。

何故だ・・

その理由は私が聞きたいくらいだ。

時間にして3秒もあればそこに行って拾える。
それなのに私はそれをしないのだ。拾うより、より多くの時間を私は思考する。

「ああ、画鋲が落ちているなあ」と。

「いつか踏むかもしれない。危ないなあ」と。

我が妹は言う。
「・・・・・・・・ありえない・・」

私もそう思う。200%同感である。
でもこれが現実なのだ。画鋲が落ちてしまっているのだ。

今この時も、画鋲はそこにあり、いつか踏むかもしれないそれに怯え暮らしている。

ある日、こんな私のくだらない話を理解する人がいた。

「・・分かります・・」
「それって、自分への飽くなき挑戦なんですよね・・」

・・この人アホじゃないだろうかと思った。
呆れる。呆れるほど共感する。
300%の共感だ。
そう、そうなのだ。画鋲は私に挑戦し、私はその勝負を受けたのだ。
背中を見せたりなんかしない。やるならやってみろってんだ。

負けない。私負けない。

部屋には画鋲が落ちている。

でも私は今日も踏まなかった。
すごい。私すごい。
今日もラッキー。

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by ayajijo | 2018-07-01 23:40 | 日々 | Comments(0)